『電動キックボードの規制緩和案について』元警察官の率直な本音をご紹介します。

 昨今電動キックボードの悪質危険運転が問題として叫ばれる中、12月23日に警察庁が

『電動キックボードの規制緩和案』

を考えていると報じられて話題となっています。

>>>FNNプライムオンライン『“ノーヘル”で歩道をスイスイの危険走行…「電動キックボード」が一部免許不要に…その条件は?』へのリンク

 その多くは

「何考えてるの!?危ないから規制を強めないとダメでしょう!」

「なんで電動キックボードに甘いんだよ!もっと怖くなっちゃうよ!」

「警察庁は何を考えているんだ!?」

等、規制緩和されると更に危険運転が増えると心配する声です。

 しかし、その内容を見る限り元警察官の私は

「規制緩和とは言っているけど、これはむしろ厳しくしているね!」

と感じます。

 

 そこで今回は

『電動キックボードの規制緩和案』

について、私の感じた率直な意見を紹介します。

※あくまでも私個人の感想です。

 この記事を読むことで

◎、新しい電動キックボード規制案の内容が理解できます

◎、この規制案を元警察官が見たらどのように捉えるのかわかります

◎、この規制案が実現したら、何がどう変わり得るのかイメージできます

 それではそんな電動キックボードの新しい規制案について、一緒に見て行きましょう!

①現状の電動キックボードの扱い

 現状は一言で表すと

『原付の劣化版扱い』

です。

 基本ルールは原付と同じで、速度が出ない分だけ一部免除されているところがあるという感じです。

 具体的には

◎、免許が必要

◎、ヘルメット着用が必要

◎、前照灯・後部反射機・バックミラー・警音器の装着が必要

◎、車道を走行

◎、足を掛けている状態は乗車とみなす

等です。

 

 乗車する側が守ることは原付と同じルールです。

 車体側の装備で一部免除されているだけなので、ほとんど原付と同じですよね。

 これらのルールが改正される案が出されたというのが今回話題になっている出来事ですね。

 では、

「どのように改正されようとしているのか?」

改正案も一緒に見て行きましょう!

 

②新改正案の扱い

 警察庁のサイトには特に掲載されていないようなので、メディアの取材で発表されたモノなのか、他の場で出たモノなのかわかりません。

 ともかく私には公式情報がわからなかったので、報道されている内容から紹介します。

 この改正案を一言で表すなら

『自転車と同じような扱いになる』

という感じです。

 

 具体的には

◎、16最以上は免許不要(15歳以下は公道での使用禁止)

◎、ヘルメット不要

◎、自転車走行レーン走行可能

という感じだそうです。

 

 内容だけ見ると、電動自転車も自転車の扱いなので、それと比べれば大きくズレたモノではないようにも感じますよね。

 ただし今回問題視されているのはそこではなく、

「キックボードの危険運転が叫ばれている中、どうして規制を緩めたの!?」

という感情部分の話ですよね。

 では、この改正案が通ると、本当に危険運転は増えて無法地帯になってしまうのでしょうか?

 この辺りを元警察官の私の視点で感想を述べて行きます!

 

③新改正案が実現するとどうなる?

 この規制案の内容を見た時の私の率直な感想は

『だいぶ厳しいことを言い出したなぁ』

です。

 これはキックボードに乗る人にとっても、現場の警察官にとってもです。

 

<キックボードに乗る人にとって厳しいと考える理由>

 まずキックボードに乗る人にとって厳しい部分ですが、それは

『違反したときに科せられる罪の重さ』

です。

 

 世間的には

「免許があった方が違反したときには罪が重いんでしょ?」

と思われがちですが違います。

『免許制度がない乗り物の方が、違反したときの罪は重い』

です。

 

 例えば、自転車。

 これは免許制度がない乗り物ですが、自転車の違反が検挙されるとどのように処理されるかご存じでしょうか?

「イエローカード(地域によってはレッドカード)と呼ばれる警告書をもらうだけでしょ?」

と思いますか?

 いいえ、違います。

 それは検挙ではありません。

 検挙された場合は、どんな軽微な違反でも一発で赤切符です。

 つまり、

『違反=裁判所行き』

です。

 

 免許を必要としなくするという事は、キックボードも

『違反=裁判所行きになる』

という事です。

 免許不要にするとは、私の感覚では罪を重くすると言っているように見えるんですね。

 とはいえ

「いやいや、それはおかしいでしょ!自転車の違反をしても裁判所行きになんてなってないじゃん!」

との声が聞こえて来そうですね。

 その辺りが次の現場の警察官にとって厳しいの部分です。

 

<現場の警察官にとって厳しいと考える理由>

 赤切符、裁判所に送付する書類(司法書類)って作成するのメチャクチャ大変なんですよ。

 一件処理するのに、簡略化されている赤切符ですら

1件で数十分~1時間くらい

掛かります。

 しかもその場の処理が終わった後も、何かと事務処理が残っています。

 大変なんですよ。

 

 だから、街中で日常的に見かける自転車の軽微な違反を全部処理することは物理的に不可能です。

 警察官を数百万人以上増員しないと無理でしょうね。(今は全国で30万人くらいです)

 でも、本来は裁判所送りな違反を見て見ぬ振りもできないということで、イエローカードという警告だけのカードが出来上がったわけです。

 もっとも、裁判所送りにならない代わりに職務質問をされるという、おまけも付いてきやすいですけどね。

 

 これでキレる違反者もいますが、本来は裁判所送りのところを警告+職務質問で済んでいる状態に不満でもあるんですかね?

 あんまり悪質だと裁判所送りに切り替えられてしまうわけですが、ゴネたり反抗的な態度は

「反省の色がなく今後も違反を繰り返し得る、悪質な違反者だ!」

と判断されてもおかしくはないんですけどね!

 

 ともかく、今回の改正案はキチンと赤切符処理するのなら、かなり安全運転に対しての意識の高まりが期待できます。

 しかし、現場の警察官が足りず実質的には無理なので、自転車への警告と同じ扱いになると思われます。

 つまり、声掛け、警告、取り締まりの量が今以上に多くなることが予想されるんですね。

 切符処理しても大変、切符処理しなくても大変、現場は辛いですね。

 

 手が回らないで見過ごしてしまったら、周囲にいる一般市民から

「今違反してたよ!早く追えよ!取り締まれよ!」

と言われますしね。

(一般市民から警察官への直接的な声掛けの9割は誹謗中傷・暴言・苦情の類です。感謝の気持ちはみんな心に留めてしまい声に出してくれないので、警察官には全く届いていません)

 この辺りに関してはまた別の機会にしましょう。

 

 ともかく、今回の改正案で一番負担を負うのは現場の警察官だと思われます。

『免許制度がない車両の違反=裁判所行き』

という部分を何とかしない限りは、このような小手先の改正を繰り返していても根本的には何も変わらないと思います。

 上はその辺りがわかっていないのか、何かの力が働いているのか知りませんが、元現場の警察官としての立場でも、今の一般市民としての立場としても、何とかして欲しいモノですよね。

 

まとめ

 今回は電動キックボードの規制緩和案という出来事について、元警察官の私が正直な感想を紹介しました。

 

①、現状の電動キックボードの扱い

 『基本的には原付と似た扱い』

②、新改正案の扱い

 『基本的には自転車と似た扱い』

③、新改正案が実現するとどうなる?

 『違反者は厳罰化される。ただし、実質的には検挙は無理なので現場の警察官が大変になるだけ』

 

 これで新しい電動キックボード規制案の内容が理解できましたよね。

 この規制案を元警察官が見たらどのように捉えるのかもわかりました。

 この規制案が実現したら、何がどう変わり得るのかもイメージできましたね。

 

 

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